水をめぐる争い Water shortage in the world
公開日:
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環境 environment, SDGs, 水
水の大切さを実感する機会ってあるだろうか。
日本で日常暮らしていると夏に水不足に陥る地域はあるものの、それが致命的な自体に直結することは少ないと思う。
今日はそんな水について気になる記事があったので紹介しつつ、世界の水事情について書きたい。
インデペンデントより、「消えゆくイラクの楽園:水不足が400万人へ強いる退避」(意訳です)
概要はこうだ。
“チグリス川とユーフラテス川を源流としたイラク南部の湿地は年々砂漠化し、農地として使える土地も減少していっている。
原因は色々とあるが、中でも気候変動と上流にあるダムが大きな原因としてあげられる。(ただし、この地域の紛争により以前より起こっていた。)その結果として起きている水不足により、向こう8年で何百万人がこの地域からの移住を強いられるだろう。そしてこれは環境問題というだけでなく、社会・水・食料の安全保障問題であり、イラク全体の、しいては国際的に影響を与える問題となる。つまり、イラクに流れてくるこれらの川の上流にあるトルコ、シリアの両国がダムで水量を絞っている。これは水紛争に繋がりかねない問題である。さらに気候変動がこの問題を悪化させている。”
世界にある水を100%とするならば、飲料水として人間やそのほかの生き物が飲める水はそのうち約0.01%に過ぎない。そんな貴重な水を世界中で等しく分け合うことができるだろうか。
かつて世界銀行の副総裁が「20世紀が石油をめぐる争いであるなら、21世紀は水をめぐる争いの世紀である」と言ったように、水不足により起こる問題はイラクに限ったものではない。
記事中では、水不足の原因は様々あるとあるが、気候変動と人口増加はその大きな要因であると考えている。
気候変動により、乾燥した地域はより乾燥し、雨の降る地域にはより激しい雨が降るため、元々雨の少ない地域はより干ばつが起きやすくなる。そして人口増加により、一人当たりが使用できる水の量はどんどん少なくなる。
結果として水が元々少なく、人口が増加している国や地域はより水不足に対し脆弱になっていく。
加えて大陸にある国や地域は、水源が一つの国で完結するとは限らない。
今や上流にある国は水を外交手段として使い始めている。主に圧力として。
水源の上流国と下流国の間でそれが紛争の火種となることは想像に難くない。
水が、かつての石油と同じように資源カードとして扱われているのだ。
確かに、水は資源である。アメリカでもかつて水は資源として“First in time, first in right”という先に取得した者に初めに権利がある。と考えられてきた。
しかし、本当に水を石油のような資源と同等に扱っていいのだろうか。
人は水がないと生きていくことができない。それは他の生物も同様である。であるならば、それは人権と同じであると考えた方が適切ではないだろうか。つまり、人が人として生きていくのに不可欠な要素という面においてである。
ところで、冒頭で日本で暮らしていると、水不足を実感することは少ないと書いた。
しかし、日本は水輸入大国であるというのはご存知だろうか。
飲料水のことを言っているのではない。確かにいたるところにあるコンビニで、外国から輸入したミネラルウォーターがを買うことができる。しかし、大量に輸入している水とはバーチャルウォーターのことである。
バーチャルウォーターとは、要は食料を生産するのに必要な水のことである。
ご存知の通り、日本の食料自給率は常に低空飛行で、約40%である。
これは何を意味しているかというと、約60%の食料を生産するのに必要な水を輸入している事と同じなのである。
これからは、「世界で水不足が起こっていて大変だな〜」なんて呑気なことは言っていられない。
全世界に関係する問題であり、各国が協力して解決していく必要がある。この問題はSDGsのGoal6とも密接に関係がある。
Goal6は「安全で衛生的な水を全ての人に」という目標で、なんとなく日本とは関係が薄いと思っていたが、バーチャルウォーターを通して水を見ると世界の水不足には日本も関係していることが分かる。
世界の問題を、自分の日常を通して見ていくと、意外と何をしていけば良いか見えてくる。
まずは日常の水や食料を無駄にしていないか気にしていこう。
今回の記事に関連したSDGsの項目
goal1:No Poverty
goal2:Zero Hunger
goal3:Good Health and Well-being
goal6:Clean Water and Sanitation
goal11:Sustainable Cities and Communities
goal13:Climate Action
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